桜谷研究室・・・北攝地区の鉱山情報・・・
 

多田銀山風景
update:2010.08.16

このページでは、北摂地区(大阪府箕面市・能勢町・豊能町、兵庫県川西市・猪名川町)にかつて存在した鉱山の情報を表示します。 北摂地区は、古くは奈良時代から銅の産地として知られており、東大寺大仏鋳造に際しても本地区から銅鉱を拠出したという伝説が残されています。 近世の話では、豊臣秀吉の隠し金で有名な「多田銀山」があり、今でも埋蔵金探しを企てる人が跡をたたないとか。 明治・大正期までは、銅・マンガンを主体とした一大鉱山地帯として栄え、採掘された銅鉱は一部は地区内で製錬されましたが、多くは大阪・住友系の製錬所へ輸送されていたとのことです。

しかし、現在では本地区で操業している鉱山は全くありません。大阪近郊ベッドタウンとして開発が進む本地区では、山中に点在する坑道(間歩;まぶ)も造成によって急速に消えていきます。 しかし「黒川・大谷鉱山」のように、当時の坑道やトロッコ線路が残っている鉱山跡もあり、今のうちに記録しておく必要を感じている次第です。大部分の人には無関心な内容だと思いますが、産業遺跡に興味・愛着のある一部の人々のために、私が収集している情報を公開したいと思います。

 
最近になって、個人の趣味の所産である桜谷軽便鉄道の鉄道名の由来となった桜谷鉱山が脚光を浴びつつあります。
なんと「桜谷鉱山前駅」まで登場しました。これ実は、能勢電鉄が企画した観光イベントの一幕ですが、律儀に(鉱山前)と記している所がすごいですね。
桜谷軽便鉄道は鉱山鉄道の復元ではなく、田舎の汽車の模型がメインですが、「下部軌道」(写真右)に鉱山跡をイメージできるかもしれません。

北摂鉱山地図


■北摂地区鉱山一覧
表は、下記参考文献によりましたが、所在地・閉山時期・現状など、文献からは知り得ない情報に関しては個人的に調査した内容が含まれています。 その点、内容に誤り・不正確な部分があり得ますのでご了承下さい。
★番号は、地図の番号と対応しています。
★リンクが「あり」となっている鉱山に関しては、別ページに写真と簡単な説明があります。ありの文字をクリックしてください。
★産出鉱物は、記号で表示しています。
Ag:銀(Silver)/Cu:銅(Copper)/Mn:マンガン(Manganese)/Zn:亜鉛(Zinc)/Pb:鉛(Lead)/Fe:鉄(Iron)
北摂地区鉱山一覧
No 鉱山名称 ローマ字表記 所在地 産出鉱物 閉山時期 現状 リンク
01 川浦鉱山 Kawaura mine 大阪府箕面市止々呂美 Ag,Cu 不明 不明 なし
02 緑青鉱山 Ryokuzei mine 兵庫県川西市黒川 Cu 不明 跡地が残存、設備なし なし
03 大谷鉱山 Ootani mine 兵庫県川西市黒川 Cu 昭和30年頃 跡地・設備の一部残存、坑道は崩落 あり
04 勝星鉱山 Katsuboshi? mine 兵庫県川西市黒川 Cu 不明 跡地が残存 なし
05 平井川間歩 Hiraigawa mine 大阪府豊能郡豊能町吉川 Cu 不明 跡地・坑道が残存 なし
06 桜谷鉱山 Sakuradani mine 大阪府豊能郡豊能町東ときわ台 Cu 昭和20年頃 中学校となっており、残存物なし あり
07 花織鉱山 Hanaori mine 大阪府豊能郡豊能町光風台 Cu 不明 跡地が残存 あり
08 天狗鉱山 Tengu mine 大阪府豊能郡豊能町光風台 Cu 不明 坑道と祠が残存 あり

■参考文献
「大阪府誌」
「豊能町史」
「川西市史」
「猪名川町史」
妙見山麓遺跡調査会著「兵庫鉱業史の研究I」
近藤 徹著「吉川地区の自然と文化財」